概論
うつ病は、脳の活動性・エネルギーが減ってしまっている状態といわれています。気分の落ち込み、憂うつ気分や意欲低下、死にたくなるといった心理的症状や、食欲低下、不眠などの身体的な症状が出現しやすくなります。
しっかりと休養を取り身体的にも精神的にも無理は禁物です。環境調整、心理療法をしつつ、必要に応じ薬を使用します。他の身体の病気だと思って身体科の診察を受け、うつ病が疑われることも多くあります。
症状と診断
下記のような症状のうちのいくつかが一日中ほとんど絶え間無く感じられ、長い期間にわたって継続することが2週間以上続くというのが大まかな診断基準になります。
- 憂うつで、気分が重い(抑うつ気分)
- 何をしても楽しくない、興味がわかない
- 寝入りが悪い、途中で起きてしまう、早く目が覚める、熟睡できない、一日中眠い
- 理由もなくイライラししまう。落ち着かない。
- 自分を責めてしまう。自分の価値はないと思ってしまう。
- 思考力が低下する
- 死にたくなる など
※「死にたい気持ちが強い場合」:当院での診療範囲を超え精神科専門医療機関に紹介することがあります。
要因
病前性格
病的状態になる前のそもそものその人の性格傾向 など
くよくよ考え込む、周囲に気を使いすぎる、マイナス思考、他者優先、強い責任感 など
環境
ストレスが過剰にあるような場合
神経伝達物質の減少
感情を司る脳の神経細胞間で情報のやり取りをする「神経伝達物質」の減少によるもので、心が弱いのでなってしまう病気ではない。
治療法
環境調整
乾いて疲弊した心に潤いというエネルギーを休むことで補充しましょう。休養(休職・休学)することを勧めることがあります。
心理療法・精神療法(認知行動療法)
物事への考え方とそれへの対応方法が問題となっているにもかかわらず繰り返されることで心にダメージを与えていると思われる場合に、「考え方」「対応方法」にスポットライトを当てて、どこに問題があるかを気づいてもらい(気付かせ)、それらを修正・調整・コントロールすることストレスを軽減し、症状が出現しにくくする治療法です。
薬物療法
「神経伝達物質」の調整を目的とします。「抗うつ薬」を使用します。いくつかの種類がありそれらを使い分けます。この薬は効果が出現するまでに週単位で時間を要することがあり、患者様で自己調整せずに使用することが望まれます。また、当院ではむやみに種類や投薬量を増やし続けることをよしとは致して居りません。必要な最小限の投薬量を目指していきます。症状によっては、「抗不安薬」、「睡眠薬」などを併用することがあります。